#あらゆる戦争に反対します 助産師のひとりごと
こんにちは、ゆなりです。
妊娠出産育児、結婚離婚、調停、助産師の仕事などを綴っています。
別の話題の予定でしたが(持病の頭痛でしばらく更新できませんでした)、今日はどうしても書きたい話題があります。
わたしはいま、絶対に戦争を起こしてはいけないという強い気持ちでこの文章を書いています。
#あらゆる戦争に反対します
年明け早々不吉なニュースばかりで不安になります。
戦争は絶対にいけない。
今の世界で起きていること
ロシアのプーチン大統領のウクライナ侵攻開始から早4年が経とうとしています。先日アメリカのトランプ大統領がベネズエラを爆撃し、大統領をニューヨークへ移送したうえベネズエラをアメリカの管理下に置くという宣言をしました。産油国のベネズエラはマドゥロ大統領の悪政下だったそうで、トランプ大統領に言わせれば「悪政だったから潰しといたよ、その後の運営(統治)は任せてね」というわけだそうです。
もしこれが日本で通用したらどうなるでしょうか。
今の日本で起きていること
韓国警察にて統一教会の捜査が進められているようですが、捜査途上で日本の国会議員へ、自民党員だけでも290名以上が統一教会から資金提供を受けている、現職高市総理大臣の名前も32回出ていた。という資料が見つかったと発表がなされました。
このことについて総理自身、またほかの国会議員から否定の声明は、私が見る限りですが、出ていません。テレビでの報道もあまりなされていないようです。
自民党は統一教会そのもののような存在であること、信者から献金と称して多量の金銭を搾り取るように、市民から税金と称して多量の金銭を絞り取り、私腹を肥やしている。政治資金(税金)を使ってキャバクラに通う議員が報道されていますよね、裏金(脱税)が明らかになったにも関わらず逮捕もされず、今も平気で国会議員を続けている人もたくさんいますよね。わたしたち市民は税金をちょろまかすことは1円たりとも許されないのに、何千万もちょろまかしてお咎めのないひとたちがいるんです。
絶対におかしいと思いませんか。
誰がどう見ても自民党をはじめとする国会議員の悪行や統一教会とのつながりは明らかなのに、警察も検察も誰も動かない。
まるで警察も検察も統一教会から資金提供を受けていますと自白しているみたいですね。どうなんでしょうかね。
違うのなら違うとはっきり宣言したうえで証拠を提示してほしいものです。
「悪政下だったから潰しといたよ」
アメリカに、中国に、ロシアに、
そんな理由である日突然東京を爆撃されたらどうしますか。
ベネズエラは決して他人事ではない。
誰もが母から産まれ、誰かに育てられて生きていた
助産師として、母として、強く思うこと。
誰もが必ず、母の身体の中で命をはぐくまれ、痛みをもって産まれおち、眠れない夜の中一緒に過ごされ、今があります。
一人で産まれて一人で育つことは絶対にできない。
全ての命が、今もどこかにいる誰かの痛みや辛さとともに今を生きているんです。
わが子を戦争に出したい親なんて絶対にいない。
そんな風に今生きている命を奪っていい理由なんてない。
子どもにはいつもあたたかい家で幸せに暮らしていてほしい。
誰かの腕に抱かれていたそんな頃を覚えてはいなくとも、絶対に忘れてはいけない。
戦争をしてはいけない理由なんて、これで十分でしょう。
火垂るの墓で描かれる、戦争の悲惨さ
家が燃え、家族は焼け死に、兄妹のみになる。
これでも心が張り裂けそうなくらいに悲惨ですが、わたしが考える火垂るの墓の伝える最も悲惨なメッセージ。それは、清太と節子は生き延びることができたのに、生きられなかったことだと思います。
ときはすでに終戦。自宅は燃えど、暮らす家も食べ物もありました。そして清太と節子の周りにはたくさんの大人が登場しました。西宮のおばさん、警察、畑にいたおじさん。しかし、その誰もが「子どもが2人では生きられない」ことを知っていたにも関わらず、最終的には誰も手を差し伸べなかった。もしあの中の誰か一人でも声をかけて、2人を引き留めていたら…。すでに終戦であり、清太は母が貯めていた多額の貯金を口座に持っていたわけですから、なんとかして生き延びる道はあったと思いませんか。
世間から冷ややかに扱われていた清太も節子も、誰かの大切な存在だったんです。
現代だったら誰かが必ず声をかけていたでしょう。でも戦時下では誰も声をかけなかった。誰もがそういう人間になりうるのが、戦争の恐ろしいところだと思います。
#あらゆる戦争に反対します
戦争を止めるためにわたしたちができること。
それは「日本国民」であり続けることだと思います。
唯一の被爆国として、核は絶対に持たないこと。先人たちの血と涙で書かれた世界に誇るべき憲法9条を後世に引き継ぐこと。絶対に戦争はしてはいけない。とても簡単で、当たり前の思考を疑わず、手放さないこと。
今の日本のトップは、統一教会員と、媚中(中国に媚びること)ばかりで、まるで純粋な日本の市民はいないように思います。選挙に行ってもだれに投票していいかわからないくらい、どの政党も公約を守らない。こんなに高額の税金を払っているのに、何にも還元されない。警察も検察も動いてくれない。
GDPは他国にどんどん抜かれ、加速する円安が物語っているように、資源も食料もない日本は世界から見てなんの価値のない国になりつつあります。市民の生活はじわじわとひっ迫され、まじめな日本人がかつて世界に誇っていた技術の向上は望めない。
日本はすでに先進国ではない。市民は貧困しつつある。
日本の市民はこの現実から目をそらしてはいけない。
その元凶から目を離してはいけない。
わたしにできる小さなこと。毎日声を上げること。このブログもそうです。Xでも無名なアカウントですが、日々政治への意見や、戦争反対の声を上げています。誰かの目に留まってほしい。誰か一人でも戦争はいけないと思ってほしい。今の日本に危機感を持ってほしい。
世界中の市民は誰も戦争なんかしたくない。
戦地に行きたいと思っている戦士はいない。
あえてアメリカではなくアメリカのトランプ大統領と名指しにしたのはそのためです。アメリカ国民みんなが戦争を望んでいるとは思えない。
戦争勃発となったときに、トランプ大統領が、高市総理大臣が、習近平国家主席が、プーチン大統領が、自ら武器を手に持ってお互いに銃口を突きつけあうと思いますか。
誰もそんな度胸はないくせに、戦火で失われる戦士や市民の命はものともしないのです。歴史を見ればわかるように、戦争を起こす人々は、いつも自分たちは関係ないのです。あったかい部屋で、おいしいご飯を食べながら、炎に包まれる命と瓦礫の街を眺めているんです。小さな子どもをはじめとする無実の市民が犠牲になり、その屍を踏んで逃げる市民を、ただ眺めている。おかしいと思いませんか。
ベネズエラの攻撃に日本の自衛隊員を参加させるようトランプ大統領から要請が来たら、今の日本のトップたちは断ると思いますか。断って、大臣や議員が自ら戦地に赴くと思いますか。自衛隊含む一般市民へ前線に向かうよう命令するでしょう。そういうことです。
日本は平和ではない、平和ボケしている。
明日が何も起こらないことを祈らずにはいられません。
中を見れば、日本の政治はカルト宗教に支配されている。
外を見れば、すぐそこまで、戦争が近づいている。
日本で産まれるこどもたちが、みな大人になれますように。
戦火を知ることなく、戦争の恐ろしさが語り継がれますように。
今戦火で子どもをだくママが、少しでも安心できる場所を見つけられますように。
今戦火で新しい命を産み落としているママが、無事にお産を終えられますように。
どうかこれから誰も戦争で傷つくことなく、温かい場所で暮らせますように。
統一教会に関連する国会議員の適切な捜査を望みます。
そして、わたしは、あらゆる戦争に反対します。
【賛否両論?】産後の母子同室はなぜ必要なのか。
こんにちは、ゆなりです。
妊娠出産育児、結婚離婚、調停、助産師の仕事などを綴っています。
本日は産後の母子同室についてです。
時々SNSで荒れる話題
「帝王切開の翌日から世話をさせられた。」「ぼろぼろの体なのに預かってもらえず全く眠れなかった。」「入院中から母子同室なのきつすぎる。」
時々SNSで見かける話題ですね。
産後直後の身体的にダメージを受けている中、赤ちゃんの世話をさせられて苦痛だったという書き込みを見かけることがあります。
そのせいか、最近のバースプランでは、「産後はなるべく休みたいので赤ちゃんを預かってほしい。」「体調が整うまでは母子別室でお願いしたい。」などと書かれる方が増えている気がします。
気持ちはよくわかる
よくわかりますよ。わたしの病院の夜勤中は、患者対応や赤ちゃんの授乳時間以外は休憩室で横になることができますが、夜勤ができる健康な体ですら、3時間おきの授乳は眠たくてつらいです。
ましてや産後の貧血や内分泌的な変化、傷の痛みがある中で3時間おきに起きて授乳とおむつ交換をする。しかも3時間おきの授乳というのは開始から3時間おきになりますので、0時から授乳を始めたら次の授乳は3時からになります。赤ちゃんが中々飲まなかったり嘔吐して服が汚れて授乳に1時間かかれば、2時間しか休憩時間はありません。そもそも3時間おきというのも「最低限」3時間おきなので、子の飲み方やタイミングによっては、1時間半から2時間おきのこともあり、休憩時間がほぼないこともざらです。そしてその休憩時間中に赤ちゃんがぐっすり寝ているとは限りませんので、ぐずぐずしていたり、大泣きしていたり、結局あまり休めずに朝を迎えることもあるでしょう。これが2~3日間なら大したことはないでしょうが、少なくとも1か月、長いと4~5か月以上続く子もいます。
文字に起こしてみると非常にスパルタというか、ありえないですね。普通の社会ではありえないくらい激務だということがお分かりいただけると思います。
考え方は産院やスタッフによる
母乳を頑張っている産院は、母子同室を推奨する傾向にありますし、反対に、最初は母の休息のために2日ほどずっと預かる産院にもいたことがあります。
大きくは産院の師長や院長の意向によります。
あとはスタッフ個人の意向も多少は影響します。同じ状況でも、赤ちゃんを預かるスタッフもいれば、同室を推奨するスタッフもいるでしょう。それぞれ学んできた環境や経験が異なりますので、同じ状況でも考えが異なるのは当然です。
大事なのはケアの理由
わたしたちは今この母子にどんなケアや支援が必要なのかを考えています。
バイタルサインや採血データ、出産時の状態、産後日数や退院後の支援の有無、育児経験の有無、赤ちゃんの体重の増減、乳房の状態、メンタルの状態など、判断材料は非常にたくさんあります。
別室と同室、どちらがよいかは状況によるのです。決まった答えはないのです。
母子同室の本質
あくまで私の持論ですが、
母子同室は入院中に一度はするべきです。
一つ目の理由は、家に帰って困らないようにするためです。
入院中のママたちからは、「赤ちゃんの鼻がフガフガ鳴っているのですが苦しいんですか?」「びくっと動きますがこれは痙攣ですか?」など、様々なご質問をいただきます。基本的には問題のないものばかりですが、家に帰って初めて見たらどう思うでしょう。とても不安になるのではないでしょうか。ナースコール1つでなんでも聞けるうちに、自分の赤ちゃんのことを知ることで、家でも安心して赤ちゃんと一緒に過ごしていただきたいなと思います。
二つ目の理由は、赤ちゃんのいる環境になれることです。
「赤ちゃんが一緒にいてもわたしは寝ていいんですか?」と聞かれることがあります。寝ていいんです。むしろ昼夜関係なく、赤ちゃんが寝ていたら一緒に寝てください。ちょっともぞもぞしたくらいでは起きなくていいんです。ぎゃんぎゃんに泣いてもうどうしようもないなと思うまでは、布団の中で休んでください。赤ちゃんがいると気が休まらないという方がいらっしゃいますが、それでは病みます。赤ちゃんが隣にいても休めるよう、特に初産婦さんは、赤ちゃんのいる空間に慣れていただけると嬉しいです。
最後が、わたしにとって一番大事な理由です。
母子同室は児童福祉につながる
最後の理由は、赤ちゃんのお世話ができるためです。
当たり前に思うかもしれませんが、これはママのためではなく赤ちゃんのためです。
産院にいる間はわたしたちもお世話ができますが、自宅に帰った後は見守ることもできません。ご家族で育ててもらうしかないのです。赤ちゃんは自分から助けを求めることはできません。必ず大人の適切な助け、つまり育児が必要なのです。
なんの知識も技術も身につけないまま退院して、育てられませんでしたでは済まされません。赤ちゃんは守られるべき存在で、わたしたちは赤ちゃんが自宅で健やかに育つようにご家族を支援しているのです。
母子同室を楽に乗り切るコツ
まずはスマホを見ないこと。
ジャストボーンなど投稿したくなりますが、たくさん来るメッセージやいいねに反応していては休めません。とにかく寝てください。連絡は最低限でいいです。ショート動画などもやめましょう。陣痛中もですが、スマホを眺めている時間はついつい長くなりやすく、思いのほか体力を奪います。夜間ぐっすり眠れる日はしばらく来ませんので、赤ちゃんが寝ているのならば昼でも夜でも一緒に寝てください。
次に、寝なければ思いっきりミルクを足してしまえばいいです。
日中は母乳だけで、夜寝る前にはミルクを足すという方もいますね。
寝なければ思いっきり足してみたらいいです。20mⅼでは物足りないこともあるので、40~60㎖くらい作って、飲めるだけ飲ませればいいです。肥満がどうとか言われますが、まあそういうエビデンスはありますが、自分でハイハイしたり、1歳付近で歩くようになれば身が締まってきますし、肥満予防に乳児期のミルクを控えるくらいなら、幼児期のお菓子を控えた方が賢明だと思います。
正直に産院の助産師さんや保健師さんに言うと足しすぎと怒られることもあるでしょうが、個人的には別に気にしなくていいと思っています。そんなことで病むくらいならがっつり足して寝てほしいです。
がっつり足した後に満腹すぎて苦しくて泣く子もいるのでしっかりげっぷを出します。出なければ諦めてもらって良いです。嘔吐をしたときに備えるためにも、真上を向けて寝かせるよりも、少し横向きに寝かせてあげると良いです。大人と同じで、満腹の状態であおむけで寝るのは赤ちゃんもちょっと苦しいみたいです。
終わりに
母子同室は出産直後から終始すべきとは思いません。
でも、入院中に必ず一度はすべきだと思います。
怖がる必要はありません。
あなたの子をあなたが育てる、ただそれだけのことです。
必ず眠れる日はきます。必ず授乳は終わります。必ず夜泣きは終わります。
陣痛と同じで、どんなにつらくても必ず終わるんです。
ここからは完全に持論ですが、いつか終わってしまう今を、「つらい」「眠れない」のみに焦点を当てるのではなく、楽しんでほしいです。
小さな赤ちゃんが泣いていて眠れない夜を思い出して、心が温かく、そして少し寂しく感じる日がきっと来ますよ。
困ったらいつでも周りに頼ってください。
家族に頼れなければ、産院や行政に頼ってください。
あなたの育児を応援している人はたくさんいますよ。
赤ちゃんは守られるべき存在と書きましたが、わたしは同時にママも守られるべき存在だと思っています。
次回、【ママは守られるべき存在】これから赤ちゃんを迎えるご家族へ
お楽しみに。
【生きること、成長すること】おおかみこどもの雨と雪②
こんにちは、ゆなりです。
妊娠出産育児、結婚離婚、調停、助産師の仕事などを綴っています。
本日は前回に続き、細田守監督作品【おおかみこどもの雨と雪】考察です。
※ネタばれ含みます。
雪と雨の成長
雪は人間、雨はおおかみとして道を歩んでいきます。
はじめは雪のほうがおおかみとして優秀なように見えますし雨は怖がりなので、逆かと思いますよね。
2人の成長に共通していることは、他人の関与です。
母以外の人間と関わることで、自分自身の道を探せたのではないでしょうか。
彼は花の夢の中で大人になることを、「自分の世界を見つけたんだ」と表現します。
雪は同級生たちと、雨は自然の家の職員さんやおおかみ、先生と過ごす時間が、2人の進路を決めていきました。
個人的には不登校の雨に対して、自然の家の職員さんの「じゃあさぼりか。いつでも来たらいいよ。」の言葉が温かくて好きです。
雪とそうへいくん
難しい年ごろの2人ですよね。
手を出した雪も悪いですが、やめてって言ってるのに追いかけるそうへいくんも悪いです。小学生らしいですよね。わたし的には喧嘩両成敗案件です。
そうへいくんは雪のことが好きなんでしょうね。好きな女の子に構いたくなるやつですね。
「お前んち、犬飼ってない?」「なんか、獣臭い。」と言われるのは、年頃の雪にとっては非常にショックです。
以前にもおおかみのじぶんは他の女の子と違う、とショックを受けたことはありましたが、正体を隠していれば問題はなく、楽しく過ごすことができていました。
しかしそうへいくんに臭いを指摘された時、自分がおおかみであることが、彼女の中でどうしようもなく大きな「傷」になってしまったのです。この一言により、人間として生きたいと、よりはっきり思うようになったのだと思います。
そうへいくんも、複雑な養育背景の子です。
そうへいくんは花と同じで、つらいときにも笑います。
おそらく転校は、母の結婚によるもので、彼にとっては決して良いものではなかったと思います。
そんな転校をしたばかりですが、いつも笑っているクラスのムードメーカーのようです。クラスの子がそうへいくんの母の結婚を噂していますが、それを本人が知らないはずがありません。
周りに噂されていると気づきながら、どこまで本気で楽しんで笑っているのか、わからない子です。
豪雨の中、生徒たちが体育館に集合して、一人ひとり親が迎えに来て減っていく場面で、そうへいくんはトランプを探しに行くふりをして教室に一人で戻ってしまいます。
「俺、もういらないんだってさ。」
2人きりの教室でそう話す彼はししっと笑いますが、傷ついていないわけがありません。自分の親は迎えに来ないと分かっていたからこそ、みんなが迎えに来る体育館にはとてもいられなかったのだと思います。
雪が久しぶりに登校する日、そうへいくんは自宅まで迎えにきます。
そして自分の耳の傷を見せて、触らせます。
自分の傷を見せて、触らせて、大丈夫だと伝えます。
2人の心の傷のようです。
傷とともに生きていくことの象徴ではないでしょうか。
「早く大人になりたい」「俺も」
誰もいなくなった校舎を歩いている時、2人はつぶやきますが、自分自身と向き合えるようになりたいという意味かなと思います。
雪がカーテンに隠れておおかみになる場面では、今度は雪が自分の「傷」を見せるシーンです。
「雪の秘密、誰にも言ってない。言わない。だから、もう泣くな。」
雪がおおかみであるという背景が、初めて母以外の人に認められた瞬間でした。
豪雨に揺れるカーテンに2回、雪の姿が隠れます。1回目はオオカミになりますが、2回目はおおかみになりません。この瞬間が、雪が人間になれた瞬間なのだと思います。
きっと雪はこれ以降一度もおおかみになることはないのだろうと思います。
そうへいくんも中々複雑な背景のある子ですが、というより、人間にはみんな多かれ少なかれ、人には言えない背景や隠したい事実があるのでしょう。
その事実とともに、社会の中でどう生きるか。
雪とそうへいくんは、相手に傷を見せて、同時に相手の傷も知ることで、自分の傷と向き合いました。
傷のような事実を自分が受け入れること、傷とともに生きていくことを、「人としての成長」として描いているのではないでしょうか。
「俺は一匹狼で生きていく。」
そうへいくんの言葉に「おおかみ」が入っていて、意図的なものを感じますね。
雨の成長
学校に行かないことはそうでも気に留めない様子の花ですが、雨がおおかみとして生きることは、受け入れがたかったようです。
「2人とも自分の道を歩き始めている。望んでいたことのはずなのにどうしてこんなに不安なんだろう。」
親として子どもの将来が不安なのは当然です。ましてやそれが、おおかみとして大自然の中で暮らす道なのですから。自分の全く知らない世界に子どもが行ってしまうこと、自分が守ってあげられなくなることに大きな不安を感じます。
「あなたはまだ10歳なの、子どもなの、たとえおおかみにとっても10歳が十分な大人でも、あなたは…!」
このセリフの後に花は、あっと言葉を詰まらせます。「あなたは人間なの」と言いかけて、実は自分がそう望んでいることに気づいたのでしょう。
花の中で、雨の将来に対して葛藤しているシーンが何度も出てきます。雨の好きな道に進ませてやりたい気持ちと、自分の目の届かないところへ行ってしまう不安。
中盤、子どもの雨がおぼれるシーンは、見ているだけで親として肝が冷えます。
雪が助けてくれるわけですが、花にとっては、自分は何もできなかった。と思うには充分すぎる出来事でしょう。
花は、雪のお迎えを放置して豪雨の中雨を探しに行きますが、その判断をしたのはこの経験からだと思います。
雪は学校にいるわけなので身の安全は確保されています。でも今雨を探しに行けるのは自分だけです。こんな豪雨を甘えん坊の小学生の子どもが一人で出ていき、心配しない親はいません。また溺れているんじゃないか。助けに行けるのは自分だけ。そんな気持ちで一晩中豪雨の中を森で過ごしていたのでしょう。熊に遭遇した花は腰を抜かしますが、雨がクマに襲われていたらどうしようとも思ったのではないでしょうか。「あなたはまだ子どもなの!」と山に入る雨を制止するシーンでもわかるように、親にとって、子どもはいつまでも子どもなのです。自分が守らなきゃと思うのです。
また、豪雨は、彼がいなくなった日を想起させます。
彼は豪雨の中死んでしまった。
豪雨は、別れを象徴するものでもあるのかもしれません。
豪雨が過ぎ去り、雨と花の別れのシーンです。
「わたし、まだあなたに何もしてあげられない。」
雨の去り際、花は言います。
雨は驚いた表情で花を見つめます。たくさん愛情を注いでくれた母。
そんな母の不安そうな様子に、雨は何も言わず、山を駆け上り、大きな遠吠えで答えます。
雪原を疾走するシーンでも雨は遠吠えをしますが、声の太さや低さが全然違いますよね。雨が大人になったことが表現されています。
「自分はこんなに大きくなったんだよ。」「今日まで立派に育ててくれてありがとう。」と言わんばかりの大きな遠吠えです。
言葉はなくとも、雨の母への感謝の気持ちと成長ぶりがとても印象的で、何度見ても涙なくしては見れない場面です。
「元気で、しっかり生きて!」
本作品で最も印象的なセリフです。
「しっかり生きて」
花は常に自分の行動に責任をもって生きています。
そんな母からの「しっかり生きて」という言葉は、励ましであり、応援であり、雨の選んだ道を認める言葉です。
子どもの選んだ道を信じて、手を離して、笑顔で送り出すことは親にとってとても勇気のいることです。
この言葉は、花自身の背中も押すものだったのではないでしょうか。
「元気で」「元気でいて」
花は2回つぶやきます。「しっかり生きて」は、大きな声で雨に聞こえるように伝えますが、「元気で」「元気でいて」2回ともささやくように、雨には聞こえないような声です。
これは祈りに近い気持ちなのだと思います。もう自分の手の届かないところに行ってしまう息子、守ってあげられなくなる分、離れていても無事でいてほしいと祈っているのでしょう。
終わりに
最後に花はふふっと笑います。
そのシーンで本編は終了です。
大変な大変な12年間を振り返って笑っているのでしょうか。
遠くにいる子どもたちを心配しながら、それでも笑ってるのでしょうか。
「母の笑顔が嬉しいのです。」
雪も最後に花の笑顔に言及しています。
つらいときも笑顔を忘れず、一生懸命生きること。
子どもを育てる、守る、親としての責任を常に果たすこと。
子どもたちの意思を尊重すること。
人として成長するとはどういうことなのか。
生きること、成長することへの一つの考えが凝縮された名作です。
おおかみこどもの雨と雪が名作なのは間違いないです。
細田守監督作品は、表面上の物語もファンタジーで面白いですが、その奥に隠されている本題が深くて、それを探りながら観るのがとても面白いです。
ジブリと同じで、見るたびに新しい表現や発見や感想があって、何度見ても面白いですね。
考察しきれない部分があったり、公式の見解も何も見ずに書いていますので、齟齬があったらごめんなさい。
あくまで一個人の感想ですので公式は一切関係ありません。
- 価格: 4878 円
- 楽天で詳細を見る
今週末の「バケモノの子」、11/21公開の「果てしなきスカーレット」
楽しみですね!!
【生きること、成長すること】おおかみこどもの雨と雪①
こんにちは、ゆなりです。
妊娠出産育児、結婚離婚、調停、助産師の仕事などを綴っています。
本日は、先週金曜ロードショーで放送された細田守監督作品「おおかみこどもの雨と雪」の魅力について綴りたいと思います。
批判的な意見も多い作品
「避妊するべき」「自業自得だ」「児童虐待だ」など、批判的な意見も多く見かけますが、本当にそうでしょうか。
物語の表面のみを見ては、作品の意味に気づけないと思います。
公式の見解など一切見ずに書いていますので齟齬があったらごめんなさい。
個人の感想ですので公式は一切関係ありません。
以降、ネタバレを含みます。
花と彼との出会い
白い花の咲く野原での出会いが印象的ですよね。
何の花か調べてみましたが分かりませんでした…。
花言葉など分かるともっと深く楽しめそうです。
この作品では花がよく出てきます。
雪と雨の母の名前も「花」です。
花のアパートに瓶に生けられて飾られている花は、家族が増えるごとに種類や本数が増えており、花と彼にとっての大切なものの象徴なのかなと思います。
山奥の一戸建てに引っ越した後も、花は飾られています。
彼がいなくなった日には、空の瓶が3つと、白い花が1つになっていましたね。
この作品の主人公は雪です。
雪が語り手として、話が進んでいきます。
花と彼との出会いの場面は、雪の想像なのだと思います。
彼と花との出会いのシーンでセリフが少なく、音楽のみで進行することが多いのは、母の話をもとに想像しているからで、雪自身が見聞きした場面ではないからではないでしょうか。
「彼」の名前がでてこないのも、雪が語り手だからでしょうか。
優しく奏でるピアノと弦楽器の旋律が、セリフの少ないシーンで、2人の温かい日々を代わりに語っているようです。
彼がいなくなって、子どもと3人暮らしになるとセリフが増えます。
雪は覚えていない、と語っていますが、幼い頃の記憶が残っているからではないでしょうか。
花が笑うとき
花は名前の由来の通り、つらいときにも笑います。
クリスマスの夜に何時間も彼を待った時、彼が謝っても花は顔を上げません。きっと笑えなかったのでしょう。少ししてマフラーの中から笑顔を見せてくれます。笑えなかったけど、頑張って笑ったんでしょうね。
彼がいなくなった日、「任せて、ちゃんと育てる」と、目に涙を残しながらも笑顔を見せた瞬間は、こちらも涙を誘われます。とてもきれいな笑顔です。
妊娠が分かったとき、困った表情で産婦人科を後ろ向きに出ますが、玄関を出た花はくるっと前を向き、足早に前に歩き始めます。
後ろ向きに出た時は戸惑いや迷いを表現し、前を向いたことは未来に向けて覚悟を決めたことの表現でしょう。
山奥の家で野菜が全部枯れてしまい、雪が「わたしたち、これからどうなるの」と不安そうにしたときも、花自身も大きな不安を抱えていたわけですが、振り払うように首を振り、笑顔で雪に語り掛けます。
そして花は賢いです。
国立大に通っていたとのことですが、分からないことは本で調べてノートにまとめるシーンが何度も出てきます。
今と違って携帯でなんでも調べる時代ではなかったのでしょう。
並大抵の努力ではありません。
彼がいなくなって
彼がいなくなるシーンは中々衝撃的です。
大切な彼が、汚い川に浮かんで、ごみ袋の中に入れられ、ごみ収集車に入れられるのです。
その心の傷は計り知れません。
それでも花は笑うんです。
天気が雨だったのも、きっと何か表現したいものがあるのでしょう。
雨は、第2子の雨が産まれた日の天気と同じです。
雨との別れの日も豪雨でした。
そして彼と雨はいつも同じ服装をしています。
白いTシャツに、青いズボンです。
また、花と雪も、似た青いワンピースを着ています。
花が彼と一緒に授業を受ける日、花は青いワンピースを選びます。
雪が周りの友達のように女の子らしくなりたいと思ったとき、花は青いワンピースを縫ってくれます。
青いワンピースは、雪が人間として生きていくことの象徴なのだと思います。
おおかみの父と息子、人間の母と娘。
親子の服装は、生きる道の類似も示しているのではないでしょうか。
子どもと3人で暮らしはじめる
見ていてつらくなりますね。
子育てを経験されたことのある方は、誰しも自分と重ねるのではないでしょうか。
ドタバタ3人暮らし、といえばそれまでですが、普通の子育てではありません。こどもたちがおおかみだからです。
花は子どもたちを守ることに心血を注ぎます。
夫婦のみで出産することにどれだけ勇気が必要だったか。(おそらく妊婦健診も未受診でしょう。助産師としては絶対にやめてほしいですが。)
児童相談所は悪者ではありませんが、おおかみの姿で昼寝をしている子どもたちを見せるわけにはいかないでしょう。
予防接種だって、普通の子どもならば花は必ず接種させていたでしょう。でもおおかみですからヒト用のワクチンを接種させるわけにはいきません。
アパートの管理人に、「どこか好きなところへ移ってもらうしかない」と叱られた時に、引っ越しが浮かびます。
引っ越しの理由も、自分を守るためではありません。
「おおかみと人間、どちらでも選べるように。」
こどもたちの将来のためなのです。
ボロボロの家を自分一人で修繕しています。
野菜作りだって絶対に諦めません。
「定年退職したおっさん」たちが移住をあきらめていく中、花は決してあきらめません。子どもたちのためだからです。
そんな覚悟が、韮崎のおじいちゃんをはじめとした村の人々の心を動かしたのでしょう。
花の決断や行動は、いつも子どもたちのためです。
雪の中を疾走するシーンはとても印象的です。
おおかみになり、思いっきり雪原を駆け回ります。
小さなアパートでは遠吠えをすればしーっとなだめ、周囲の人の目から隠れるように生きていましたが、大きな自然の中で、3人の居場所を見つけた、生きる場所を見つけたことの象徴のシーンなのかなと思いました。
花の髪型は、都会にいたころの丸いショートボブから、田舎で暮らすようになっておおかみの彼に似ていきます。
1回でまとめたかったのですが作品への愛が深くて収まらず…。
【生きること、成長すること】おおかみこどもの雨と雪②
お楽しみに!
【経産婦の勢い】出産レポ!みいちゃんが産まれた日②
こんにちは、ゆなりです。
妊娠出産育児、結婚離婚、調停、助産師の仕事などについて綴っていきます。
本日は【経産婦の勢い】出産レポ!みいちゃんが産まれた日②です。
もう分娩?!
便意を感じたのは、5㎝と言われてから1時間半後くらいでした。内診所見は6㎝と言われましたが、モニターをつけているうちにどんどん強くなっていきました。おそらく助産師さんが内診のときに刺激をしたんだと思います。
30分後には8㎝まで開大しました。この辺から発狂し始めました。そしてこの頃にはいきみたくて仕方がなかったです。経産婦でいきみの入る8㎝は、もう分娩がすぐ迫っていることを意味します。
全開大前に分娩体位を取りました。全開大を確認してから分娩体位を取ると間に合わないからでしょう。体位を取った時にはおそらくですが胎胞(羊水や赤ちゃんを包んでいる膜)が努責の圧で膨らんで陰裂から見えていました。
これは破水と同時に生まれるパターンです。すぐに分娩になります。
でも当時の私はそこまで冷静に考えられていないので、きいくんのときの痛みを思い出し、ああここからまだ30分くらいはかかるなあと思いました。ちょうどきいくんをお産した時刻が近づいていて、あと5分できいくんが産まれた時刻だけど、それには間に合わないなあと思ったのを覚えています。
また、きいくんのときは看護師さんやらたくさん人がいたのに対し、今回は勤務交代時間帯で、日勤と夜勤の助産師さんの2人しかいなかったのですが、2人は次のビクシリンが20分後だけどもういらないよねという話をしていました。
いやいや面倒くさがらずに点滴してよ!!と思ったのを覚えています。
みいちゃん誕生
助産師さんたちが点滴をもういらないとしたのは、もう分娩になるからです。(個人的には20分くらいなら前倒しで点滴を入れますが)
助産師さんが人工破膜といって、卵膜を破って破水をさせました。破水してから1回目の努責がめちゃくちゃ痛かったです。一気に児頭が下降したからでしょう。たった1回ですが、きいくんの陣痛を含めても一番痛かったです。
2回目の努責の前の間欠期では、みいちゃんの胎動が痛かったです。足で押して蹴って出てこようとしているようでした。間欠期にも痛い痛いというわたしを見て助産師さんはびっくりしていましたが、胎動が痛いというと、産まれる直前で狭いところにいるのに、ゆなりさんの赤ちゃんは元気だねえと笑っていました。
2回目の努責の途中で、「もういきまないで!!!」と言われました。えっ、もうおしまい?と拍子抜けしたのを覚えています。まだ1.5回くらいしかいきんでないんだけど…。ぽかんとしてしまいました。
今回は会陰裂傷でした。
まず分娩のときに先生がいませんでした。切開も麻酔も医師にしかできません。お産が早くて間に合わなかったのかもしれませんが、先生を呼べるタイミングはいくらでもあったので、おそらく助産師さんが先生を呼ばなかったんだと思います。会陰が伸びそうだったので切開を入れてほしくなかったからかもしれません。夜間の分娩では、あんまり早く呼ぶと怒る先生もいますので、その辺も含めてよきタイミングで先生を呼びます。笑
20代の経産婦で、前回3500gの子を産んでるとなると、一般的には会陰は伸びるだろうなと思います。
そして助産師さんが上手でした。頭はノーリス(会陰裂傷なし)で出たのが分かりました。先生を呼ばなかっただけあります。
次は肩が出ます。縦長の陰裂に合わせて、赤ちゃんは肩を縦にして出てきます。これを第4回旋といいますが、これを待つたった数秒がすごくつらかった。会陰を伸ばすには産婦の我慢が必要なのです。極限状態での我慢です。
わたしは我慢できずにいきんでしまいました。肩で会陰が裂けたのが分かりました。
先生の縫合は10分ほどで終わったので、おそらく2度裂傷でしたがかなり軽いものだったんじゃないかと思います。産後の痛み止めもほぼ使用していません。
あの1回きりの陣痛はきいくんのときより痛かったですが、本当に痛かったのは最後の30分のみだったので、きいくんのときよりも余裕でした。これが経産婦か…!と思いましたし、きいくんのときは二度とお産しないと思っていたのが、みいちゃんのときは、これならまだ産めると思いました。
出血はちょっと多かったです。
きいくんが300ml、みいちゃんは500mlでした。お産の回数が増えるごとに出血も増える傾向にあるので、もし3人目の機会があれば出血には注意しないとなと思いました。幸い貧血のデータはそこまで下がりませんでした。
1人目とは違いすぎるお産でしたが、2人とも無事で何よりです。
これからお産を迎えられる方へ、ご自身のお産を楽しんでほしいなと思います。陣痛は怖いですが、お産は必ず終わります。そして長い人生で妊婦さんであれる期間はとても短く、さらにお産中となると一瞬です。一瞬ですが、奇跡のような、そして誰とも同じでない唯一無二の体験になります。
どうかお産を楽しんでください。
そしてそれを支えるご家族の方は、産婦さんへの敬意と感謝を決して忘れることなく、産婦さんと赤ちゃんを生涯守り続けてほしいなと思います。
次回のネタは考え中です!
また更新したいと思います!
【経産婦の勢い】出産レポ!みいちゃんが産まれた日①
妊娠出産育児、結婚離婚、調停裁判、助産師の仕事などを綴っていきます。
本日は【経産婦の勢い】出産レポ!みいちゃんが産まれた日①です。
予定日超過
きいくんは妊娠38週でのお産だったので今回も予定日より早く陣痛が来ると思っていましたが、みいちゃんはなかなか陣痛が来ませんでした。
予定日を1週間ほど過ぎようという日の健診で、次回の健診までに産まれなければ分娩誘発の予定を立てて計画入院することになったところでした。
健診ではすでに2~3㎝開大していました。
きいくんの出産を思うと、陣痛が来る前から3㎝も子宮口が開いていることを奇跡のように思いました。
その日の健診の夜からおなかが張り始めました。でも夜は寝れてしまったので、そのまま寝ました。
入院する
朝9時になって定期的に痛みが来ていることに気づきました。でもまだ余裕だったので、きいくんを公園に連れていくことにしました。たまたま日曜日で夫も休みで家にいたので、念のため入院の荷物をもって、産院の近くの公園に遊びに行くことにしました。
11時ごろ家を出たのですが、車で揺られると急に痛みが強くなりました。家を出て5分ほどで、あっもう無理だ。と思い、産院に電話をして向かいました。
内診所見は3~4㎝開大でした。NSTをつけて、陣痛間隔は3~5分おき。しっかり高く広い波が描かれる良い陣痛でした。
着替えて、点滴を取りました。
1人目は陰性だったのですが、2人目はGBSが陽性だったので、ビクシリン点滴が必要だったのです。
GBSというのは常在菌で、普段悪さをすることはありませんが、分娩時に新生児に感染すると、重篤な感染症を引き起こすことがある菌です。妊娠35~36週付近で公費券を使用して全員検査をし、陽性であれば分娩時に定期的にビクシリンという抗生剤の点滴を行います。
なので、GBSが陽性と言われている方は、なるべく早めにご連絡をいただいて来院していただけるとありがたいですね。
お昼ご飯は食べることができました。豪華なご飯を堪能しながら、再放送のバラエティー番組を見て過ごしました。
1時間ほどモニターをつけて、一旦部屋に帰りました。
おそらく、内診所見がまだそこまで良くなかったんだと思います。NSTを外すときに内診をしましたが、開大自体は1時間で5㎝まで開いていましたが、ここで一旦部屋に戻るということは、赤ちゃんの頭がまだ高く、展退も悪く、おそらく後方での開大だったのでしょう。
経産婦で5㎝開大となると、早い方はそのまま1時間以内で分娩になってしまいますので、部屋に返していいかどうかは適切なアセスメントが必要になります。
分娩中の便意について
部屋でも3~5分おきに陣痛が来ていました。間欠期(陣痛が来ていない時間)は余裕でしたので、何事もないかのように過ごしていましたが、発作(陣痛が来ているとき)はかなり痛かったです。でも元気だったのでスクワットしたりして動きまくりました。
トイレに行くと便意を感じました。試しに便を出そうとほんの少し力を入れましたが出ず、また発作時のみに限局された便意だったので、これは児頭が下降してきたと判断し、ナースコールを押しました。
分娩時に便意を感じることはよくあります。本当に便のときもありますが、分娩が進むにつれ、その便意は児頭が下降して肛門付近の神経を圧迫することによる便意である可能性が高いです。
わたしは有識者なので一度トイレでの排便を試みましたが、一般的に経産婦さんで5㎝開大していれば、便意を感じても便を出そうとせずにナースコールを押してください。
そのまま一気に開大と下降が進んで、トイレで動けなくなってしまい、部屋や廊下で分娩になってしまうこともあります。
分娩中に便が出るのが心配…と言われる方はほとんどです。
本当のところ、分娩中に便が出る方は多いです。体感5~8割くらいは出ます。
出るタイミングは子宮口全開大以降、分娩台でいきんでいる時に出ることがほとんどです。といっても、トイレで見るようなバナナうんちや下痢うんちがそのまま出てくることは絶対にないので心配しないでください。児頭に押されてにゅるっと、大きくてもそら豆大くらいの小さな便塊が出るのみです。
家族にばれないように綿花でささっとくるんで捨てて配慮していますので、安心してお産に挑んでいただければと思います。
そして医師や助産師は全く気にしないです。便が出ようが尿が出ようがなんとも思わず、いつものこととして処理をしていますので、わたしたちに申し訳ないと思う必要は全くありません。
普段から便秘気味で心配の方は、酸化マグネシウムなどの緩下剤を処方してもらって内服されても良いかと思います。
次回、みいちゃんが産まれます。
【経産婦の勢い】出産レポ!みいちゃんの分娩②です。
お楽しみに。
【地獄の24時間】出産レポ!きいくんが産まれた日③
妊娠出産育児、結婚離婚、調停裁判、助産師の仕事などを綴っていきます。
本日は【地獄の24時間】出産レポ!きいくんが産まれた日③です。
最後の努責
当時20代前半と若く、小中高大と運動部で体力のあったわたしは、前日夜間からの絶え間ない陣痛に対しても、体力がよく持ちました。
大声でぎゃあぎゃあ叫んではいましたが、叫ぶのにも体力はいりますので、まあ元気な証拠です。
バースプランになるべく会陰切開はしたくない、と書いたくせに、最後は切開してだの吸引してだの身勝手なことばかり叫んでは、助産師さんたちに軽くかわされていました。
会陰切開について
会陰切開はしてもらいました。
さすがに会陰の伸びまでは自分ではわかりませんが、きいくんは3500gと大きく、わたしも初産だったので、入れてもらってよかったと思います。
最近SNSでもよく見かけるこの話題ですが、ネガティブなこととして語られることのほうが多い気がします。
病院や医師の方針にもよりますが、会陰切開は全員に絶対行うわけではありません。会陰の伸びや赤ちゃんの下降、赤ちゃんの心音などを見て必要な際に行われます。
といっても、わたしの経験上初産婦さんは会陰切開が入ることがほとんどです。
会陰切開が必要な場面は、赤ちゃんの心音が低下している時間が長く、なるべく早めに分娩してあげる必要があるとき、そしてもう1つ大事なのは、ママの会陰の傷を最小限にするためです。
助産師は全員の会陰を伸ばします。少しでも伸ばそうとします。医師が切開を入れようとするのを止めてまで会陰を伸ばす人もいます。切開が入った後でも、少しでも傷を小さくするために会陰を伸ばします。
それくらい、助産師は会陰を伸ばすことに情熱をかけている方がほとんどです。
会陰の傷の浅さは自身の技術と相関する部分がありますし、何よりママのため、少しでも小さな傷でお産が済むように注力しています。
会陰の裂け方には4種類あります。会陰裂傷1度から4度までの4種類です。組織がどこまで裂けたかで分類されていますが、ここでは細かな説明は省略しますね。
最も多いのは2度です。2度と聞くとまあ通常程度の裂傷だなと認識します。
1度は擦り傷のような浅さです。ほぼ傷なしくらいの気持ちです。
3度だと、あーちょっと深かったね、という認識です。
最も怖いのは会陰裂傷4度といい、膣が大きく裂けすぎて肛門とつながることです。
究極的にはですが、会陰切開はこれを予防するために行われます。
正中右側切開といい、肛門に対して少し斜めに切開を入れることで、肛門への裂傷を避ける目的があります。
正中切開といい、肛門に向けて切開を入れる方法もありますが、大きく裂けそうな場面では行いません。ただ正中切開のほうが、座った時に傷に圧がかかりにくいのでこちらの方が産後の痛みを訴えられる方は少ない気がします。
こう聞くとではみんな切開を入れるべきなのでは?と思うかもしれませんが、そう簡単な議論でもありません。よく伸びる会陰であれば、ノーリス(傷なし)を目指します。局所麻酔は原則使用されるものの、不要な切開は出産に余計な痛みを加えてしまいます。
会陰の伸びは事前には分かりません。内診時に伸びそうかなーくらいは見ますが、結局赤ちゃんの心音がよくないと伸ばせませんし、いきみすぎて会陰が浮腫んで分厚くなってしまう方もいるので、産まれる直前でないと正確な評価はできないのです。
切開を入れた方が縫うのがきれいだとか、裂傷のほうが自然の傷だから治癒が早いとか色々書いてありますが、個人的にはどちらも大して変わりません。
つまり大事なのは、切開を入れた方が傷が小さくなるのか、入れない方が小さく済むのか、その患者さんによって最も傷が小さくなる方法をその場で模索することなんです。
ここで、少し視点を変えて
ではご自身の会陰を伸ばすために、自分では何ができるのか?
会陰を伸ばすために、助産師任せにすることはありません。皆さんにもできることがあります。
それは、分娩中の周りの声、特に正面にいる助産師の声をよく聞くことです。
「いきんで」「吸って」「吐いて」「手は握らないで」「胸の上に置いて」「背中をつけて」「足を開いて」「目を開けて」
いろいろ言われて混乱するかもしれません。できなくても良いです。とにかく耳だけはこちらの声を聴いていてほしいなと思います。誰の言うことを聞いたら分からない時は、正面の助産師の声を聴いてください。お産を担当する助産師を直接介助(直介)と呼びますが、直介が一番産婦さんの状況を理解していますので、最も指示が的確です。声を聴こうと意識するだけでも変わりますので、これからお産のご予定のある方はぜひ意識していただけたらなと思います。
長くなりましたが、会陰切開も会陰裂傷もどちらかが必ず悪いわけではありません。4度裂傷でも、それだけ緊急性のある場面だったのかもしれません。
わたしがこの記事で伝えたいのは、会陰切開や会陰裂傷を必要以上に怖がらないでほしいということです。
わたしたちは、十人十色のお産に囲まれる日々で、赤ちゃんの健康と安全を担保し、あなたにとっても最も傷が小さくなる方法でお産を行っています。傷を大きくしたいと思う医師も助産師も、あなたの周りに絶対にいません。わたしたちを信用していただき、この記事を読まれている方が、会陰の傷を怖がりすぎず、ご自身らしいお産を迎えられますよう願っております。
ちなみに会陰マッサージはエビデンスがないそうですが、有名なのはカレンデュラオイルですね。
風呂上がりの会陰を清潔な綿花でしばらくパックして、その後指で軽くなでるように会陰をマッサージします。
エビデンスがないのでわたしから患者さんに会陰マッサージをおすすめすることはありませんが、聞かれたらカレンデュラオイルをおすすめしています。
会陰だけでなく肌の保湿にも使えるそうなので、少しでも興味のある方は、一度試してみてはいかがでしょうか。
☆Amazonの方はこちら
☆楽天の方はこちら
ついに産まれた!
1回の陣痛も強く、努責も上手だったため、分娩台に移動してから30分ほどできいくんを出産することができました。
初めてきいくんを抱っこしたことはよく覚えています。羊水に濡れた温かいきいくん。初めて夫が涙を流すところを見ました。分娩室の景色もありありと思い出せます。夫が臍帯を切りました。
総評
わたしのお産でよかったところは、まず若かったこと、そして体力があったことです。子宮は筋肉でできていますので、母体の体力がないと良い陣痛はきません。基礎体力の高い若いうちにお産できたことは良かったと思います。
あとは身長です。身長が高いほど骨盤は大きい傾向にありますので、身長は大切です。妊娠中の体重増加は+15キロととても褒められたものではありませんでした。妊娠中に体重が増えすぎると産道にも肉がつくため、あまりに増えすぎるのは良くないですね。
次に夜間休息をとっていたことです。自分では痛くても、まだだよと言われているうちは、ぐっすりとは眠れなくても陣痛の合間にうとうとすることが大事です。これが体力温存につながります。まだこれからもっと痛くなるの?と未来におびえず、いま目の前の陣痛一つ一つを乗り越えていくことが大事です。
その他はあまり良いことがありません。笑
お産中に叫ぶと体力を消耗しますが、記事を書いているうえでは省略しているだけでわたしはかなり叫び続けていましたので、タイトルにもあるように地獄の24時間でした。
分娩後は顎関節症になりました。奥歯に力を入れすぎです。
こう見ると、年齢だの身長だの今更どうにもできないことにばかり救われています。
でも、これからお産を迎える方が準備できること、それは体力です。
もちろん無理ない範囲でですが、お産はスポーツですので、散歩や家事などでしっかり体力をつけてみてくださいね。
以上、きいくんの出産レポでした。
この流れで次はみいちゃんの出産レポに移ります。
次回、【経産婦の勢い】出産レポ!みいちゃんが産まれた日①です。
お楽しみに。

